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基板のグラウンドパターンが信号伝送におよぼす影響

概要

EMC性能を考慮した基板設計においては、基板のグラウンドパターン設計が非常に重要な要素です。
信号電流の帰路となるグラウンドパターンを流れる電流に対する阻害要因があると、信号電力の伝送に影響を与え、隣接した信号パターンとの干渉、アイソレーションの悪化、不要輻射などの要因となってしまいます。
ここでは、2層基板を用いて、表面に設けた単純な信号経路にたいして、裏面のグラウンドパターン形状の影響をネットワークアナライザーで評価するとともに、可視化装置にて影響度合を検証した測定事例を紹介致します。

詳細

図1と2に今回の評価に用いた両面基板裏面のグラウンドパターンを示します。
図3にはネットワークアナライザでの評価の際の接続系を示します。

評価結果

図4の測定結果により、下記のことが言えます。
■平行なスリットは伝送特性に対する影響が非常に小さい。
■直交するスリット数が増加するほど伝送損失が増大している。 また、図5の測定結果により、下記のことが言えます。
■平行なスリットは本数に拘らず、信号通過特性に対する影響は小さい。
■直交するスリットは信号経路への影響が大で、グラウンド上の電流分布が大きく拡がる。またスリット内部に変位電流が存在することも見てとれる。 この事例が示すように、ネットワークアナライザと高周波ノイズ可視化装置とを適宜併用することにより、回路基板設計の際、特にEMC設計における基礎データの取得において新たな視点が出てくる可能性があります。

設備

■ネットワーク・アナライザ
・メーカー/型式:Agilent technology/E5071C
・測定周波数範囲:300kHz – 20GHz
・ポート数   :4 ■高周波ノイズ可視化装置
・メーカー/型式:森田テック(株)/WM7300
・測定周波数範囲:150kHz – 6GHz
・分解能    :0.5mm
・最小測定距離 :0.5mm
・測定可能サイズ:300D×500W×195H [mm]