パワーサイクル試験

Power cycle
パワーサイクル試験

パワー半導体モジュールに使われる
各部材の接合信頼性を評価するため、
パワー半導体に大電力を印加、
チップの自己発熱と冷却を
反復させることで、
熱膨張係数が違う
各部材の熱応力への強度を確認する試験。

EVなどのインバータに使用されるパワー半導体の信頼性評価を行う方法として、パワーサイクル試験があります。パワー半導体に大きい電力を印加することで、チップの自己発熱と冷却を繰り返し、熱膨張係数が違う各部材の熱応力への強度を確認します。この試験においては、Tj(ジャンクション温度)とTc(ケース温度)が、温度の測定箇所として定義されます。Tjは、ワイヤとチップの接合部の温度を指しており、試験時の通電と同時に発熱し温度上昇します。この上昇には、通電の時間を長く取る必要があります。Tcは、ベース基板(デバイスの底面)の温度を指しており、通電に伴ってチップの発熱が伝導し温度上昇します。試験例としては主に、試験電流の通電(ON)時間と停止(OFF)時間から、ショートタイムモードとロングタイムモードの2つに分けることができます。ショートタイムモード(ON時間:~10sec)では、チップ近傍にスピーディなΔTjの温度変化を与えることでダメージを加えます。チップ温度(Tj)は上昇、ケース温度(Tc)は比較的安定した状態での試験ですので、主にチップ上(ワイヤーボンドなど)の評価で行われます。ロングタイムモード(1~3min)では、デバイス全体に緩やかなΔTcの温度変化を与えることでチップから遠い部材にもダメージを加えます。各モードで発現するデバイスの故障箇所は異なり、試験を様々な条件で調整することで、パワー半導体内の多面的な位置にある部材の耐久性を評価することができます。

  • クオルテックの
    パワーサイクル試験

  • 国内最大級規模の
    試験評価装置を保有

  • 年間250件以上の
    受託試験を実施

  • 24時間365日
    試験機稼働

  • 使用電源、
    冷却用チラーの
    バリエーションが豊富

  • 案件ごとに専任の
    試験担当者が対応

  • 試験担当者による
    きめ細やかなサービス

  • 試験機をカスタマイズ
    希望のデータを提供

Features

クオルテックでは、電気・電子回路、マイコンファームウェア、PCアプリケーションソフトウェア、水冷制御システムを自社で開発・設計しております。そのため、お客様のご希望に応じた試験に柔軟に対応可能です。

複数デバイスの同時試験

図の波形は、1つのシステムで、4個のデバイスのパワーサイクル試験を実施しているときの波形です。複数デバイスを複数の試験装置で試験した場合、試験結果には装置間のばらつきが含まれるために正確なデバイスの比較ができません。クオルテックでは、ひとつのデバイスが通電オフの期間中に、他のデバイスに通電することで、一定間隔の通電オン・オフを繰り返し、デバイスに熱ストレスを与えています。同一の試験装置を使って、複数のデバイスを同時に試験することで、正確な性能比較が可能となります。

タイムシェア時の各々のVce波形

ノイズコントロール技術

GaN/SiCなどのデバイスは、低オン抵抗および高速スイッチング性能が優れています。一方、スイッチングノイズに対するデバイス破壊の危険性が高いとも言われています。クオルテックでは、豊富な経験に基づいたノイズコントロール技術を確立しており、突入電流およびサージ電圧を発生させない試験環境を提供しています。

試験適用範囲

  • 01
    同時試験サンプル数:16素子/台(ただし、試験サンプル・試験条件による。)
  • 02
    ON時間:0.01sec〜300sec(0.01秒単位で設定可能。)
  • 03
    冷却時間:0.5sec〜1,000sec
  • 04
    冷却温度:水冷式ー40℃〜100℃、空冷式/ー40℃〜ー175℃
  • 05
    試験電流:1素子あたり:0〜1200A
  • 06
    試験電圧:最大15V程度(8V以上は要相談)
  • 07
    電流・電圧・ジャンクション温度・(飽和)熱抵抗の記録可能。

※上記以外の条件に対しても柔軟に対応いたします。

Support

お客様のご要望に応じた
オーダーメイド対応

  • クオルテックでは、実際の使用環境に近づけるため、試験機をオーダーメイドし、お客様の要望する仕様に合わせた試験を実施しています。
  • 試験にかかわる各種部材(水冷治具等)も弊社で手配可能です。

Case study

CASE 01

パルス通電パワーサイクル試験

電流をパルス状にして通電させたパワーサイクル試験です。

「パワーサイクル試験※1」や「連続通電試験※2」において「実動作に近い環境でモジュールの評価を実施したい」「DCとパルスの発熱による劣化の違いを見たい」「発熱(電流値)を抑えながら電流密度をあげたい」等のご要望に対応いたします。

※1:接合部の熱膨張収縮差による劣化評価
※2:エレクトロマイグレーションの発生確認(EM評価)

  • 全体波形

  • オン中の波形(拡大)

【試験条件例】
オンオフ時間:10秒オン/11秒オフ
オン中の周波数:〜1KHz(Duty:〜80%)※
通電電流:〜400A※

※サンプルの形状、特性、ご要望により調整いたします。
上のグラフはTO-247を使用。黄色が電流、青が電圧です。

CASE 02

IGBT/FWD 交互通電試験

パルス通電のノウハウを駆使し、IGBTとFWDを交互に通電させることで、より実動作に近い環境を擬似的に構築しました。その他メリットとしてIGBTとFWDのタイムシェアリングによる効率的な評価が可能です。

イメージ図

CASE 03

空冷式パワーサイクル試験

水冷式パワーサイクル試験だけでなく、空冷式パワーサイクル試験にも対応いたします。

  • 空冷式パワーサイクル試験のイメージ

  • Tj温度制御事例のグラフ波形

【試験条件例】
①時間制御方式:
一定時間電流on(t1)
        一定時間電流off(t2)
②温度制御方式:
目標温度(Tjmax)に到達時点で電流off
        目標温度(Tjmin)に到達時点で電流on
③時間・温度混在制御方式も可能

CASE 04

水冷機構の
自動制御パワーサイクル試験

パワーサイクル試験においてTj(チップ温度)変動の代わりに、
Tc(ケース温度)変動に着目する試験需要が増えてきています。

素子単体を温度上昇させる△Tjパワーサイクル試験と異なり△Tcパワーサイクル試験はサンプル全体を温めるため、要求される熱量が大きくなります。又、オン抵抗減少のトレンドもあり、熱量は下がる方向にあります。対策として常時循環している冷却水を電磁弁にて制御しモジュールが発熱しやすい(放熱しにくい)試験環境を構築しました。

  • 電磁弁にて制御

  • イメージ図

【試験条件例】
オンオフ時間:60秒オン/90秒オフ
試験電流:〜600A
△Tc:30℃〜100℃
試験機構:常時循環している冷却水を
電磁弁にて制御

クオルテックでは、作業性を考慮した
様々な治具の設計・制作を提供いたします。

各種デバイスの形状や試験目的・条件に応じた冷却装置や接点治具が不可欠です。
クオルテックでは、作業性を考慮した様々な治具の設計・製作を提供します。

水冷治具・
印加用基板例

TO-247パッケージなどの専用治具です。電流印加用基板作製、ゲートドライバ搭載が可能で、試験の汎用性が大幅に向上します。
デバイスに合わせてプローブ基板をカスタム設計することにより、様々なデバイス形状に対応可能です。

QFNパッケージ
試験治具

大量のデバイスを評価したい、または故障したデバイスにストレスを与えることなく解析を行いたいというご要望にお応えするため、パッケージを基板へ実装することなく、評価を行える治具を開発しました。大電流製品にも対応可能(実績:max70A)です。