X線光電子分光法(XPS)を用いた分析 事例②
概要
一般的な密着性評価としてはピール試験などが用いられますが、実際のご依頼では密着不良や界面剥離、接着強度のばらつきといった不具合解析が多くなります。
これらの解析では、IRによる異物分析、XPS・EDSによる元素分析、断面観察による剥離位置の特定などが実施されますが、原因特定に至らないケースも少なくありません。
本手法では、さらに一歩踏み込んで、密着不良のメカニズム解明および表面改質効果の評価を行います。
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分析手法
本評価では以下の3手法を組み合わせて総合的に解析します。
●XPS:化学結合状態(官能基)の評価
●水接触角測定:ぬれ性の評価
●AFM:表面形状(凹凸、アンカー効果)の評価
各手法の評価内容
■XPS
C1sスペクトルを中心に解析し、以下の結合状態比率を評価します。
・C–C / C–H(疎水基)
・C–O、C=O、O–C=O(親水基)
密着性の良否において、疎水基と親水基のバランスの違いが重要な指標となります。
■水接触角
固体表面に水滴を滴下し、接触角を測定します。
・接触角が小さい:ぬれやすい(親水性)
・接触角が大きい:ぬれにくい(疎水性)
複数点測定(n≧3、推奨n=5)により平均値で評価します。
■AFM
表面凹凸(主にRa)を評価し、凹凸が大きい場合、アンカー効果の寄与を考察します。
総合評価の考え方
上記3つの結果を統合して、不良メカニズムを解析します。
(例)
OK品:親水基が多い、接触角が小さい(ぬれやすい)、表面凹凸が大きい
NG品:親水基が少ない、接触角が大きい(ぬれにくい)、表面凹凸が大きい
→ この場合、親水基の不足が不良要因と推定
※ただし実際には、表面凹凸の影響が支配的なケース、接触角と密着性が単純に一致しないケースなどもあり、単一の測定では判断できない複雑な現象が多く存在します。
そのため、「3手法の組み合わせ評価」が重要です。
密着性に関する表面分析:不良のメカニズムの解明
ポリプロピレン(PP)に対し、エタノール処理およびUV処理を実施し評価しました。
結果(XPS)
結果(水接触角)
結果(AFM)
総合結果
親水基増加+ぬれ性向上+表面凹凸付与 → 密着性向上が期待される結果
以下が確認されました。
・エタノール処理:比較的マイルドな改質
・UV処理:より強い改質効果

































