研究開発・コンサルティング
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無電解Ni-Sn-Pめっき液の開発(プリント基板ブラックパッド不良対策)

背景

プリント配線板に対する実装時の最終表面処理として、Cuパターン上に無電解Ni-P及び置換Auめっき処理を施しています。近年、環境保全の観点より、Pbフリー対応が要求されています。 しかし、このPbフリーはんだを使用した場合、はんだが脱落し、めっき表面が黒くなる「ブラックパッド」と呼ばれる不良が発生することがあります。 この原因の1つとして、めっきそのものの品質が悪いとされています1)。 そこで、本研究では、めっきの品質を改善するため高耐食性の無電解Niめっき液(無電解Ni-Sn-Pめっき液)を開発し、無電解Niめっきの腐食条件下におけるPbフリーはんだとの接合性評価を実施しました。
参考文献 1)菅沼 克昭;はじめての鉛フリーはんだ付けの信頼性, p.40 (工業調査会, 2007)

実験方法

Fig.2にめっき工程を示します。

銅パッド(φ0.48 mm)上に、無電解Ni-Sn-Pめっき(約5 μm)処理、および市販の中リン無電解Niめっき処理を行いました。

Niめっきの腐食を促進させるため、無電解Auめっき浸漬初期のみNiめっき皮膜に+の電圧を一定時間(0, 10, 30 sec)印加しながら、無電解Niめっき皮膜上に置換Auめっき(約0.03 μm)処理を行いました。

その後、各めっき皮膜上にφ0.6 mmのSn-3.0Ag-0.5Cuはんだボールを実装しました。Fig.3にはんだボールプル試験条件と破断モードを示しました。

表面及び断面観察

Fig. 4に、中リン及び無電解Ni-Sn-Pめっき皮膜について、置換Auめっき皮膜を剥離した後のSEM観察像を示しました。

Fig. 5中リン及び無電解Ni-Sn-P/Auめっき皮膜の断面SEM観察像を示しました。

中リン無電解Niめっき皮膜は電圧印加により筋状の腐食が発生し、電圧印加時間の増加と共に腐食量が増加することがわかりました。

また、これらの腐食は深さ方向に進行していることが確認できました。

これに対して、無電解Ni-Sn-Pめっき皮膜では電圧印加時間を長くなるにつれ微小孔の増加が見られましたが、深さ方向の腐食は確認できませんでした。

これらの結果から、無電解Ni-Sn-Pめっき皮膜は中リン無電解Niめっき皮膜に比べて耐食性の高い皮膜であることが明らかとなりました。

はんだ接合信頼性評価

Fig. 6に中リン無電解Niまたは無電解Ni-Sn-Pめっき処理後、Auめっき溶液浸漬直後に0, 30 sec電圧を印加しながらAuめっき処理を行った中リン無電解Ni/Auめっき及び無電解Ni-Sn-P/Auめっき皮膜上にはんだ実装後、プル試験を行った結果を示します。

電圧を30 sec印加した場合、中リン無電解Ni/Auめっきでは、すべてのサンプルがはんだ/Ni界面での破断となり、電圧を印加しない場合に比べてはんだ接合信頼性が低い結果が得られました。

一方で、無電解Ni-Sn-P/Auめっきでは電圧を印加しない場合とほぼ同等のはんだ接合信頼性が得られました。

まとめ

今回開発した無電解Ni-Sn-Pめっき皮膜はブラックパッドの原因となる腐食を抑制することが確認できました。

また、無電解Niめっき皮膜が腐食される条件下においても無電解Ni-Sn-P/Auめっき皮膜は高いはんだ接合信頼性が得られることが確認できました。