分析・故障解析
Analysis
分析・故障解析

GC-MS(ガスクロマトグラフと質量分析計)による成分分析

GC-MSとは

ガスをカラム中に通し、カラム内を通過する時間で分離するGC(ガスクロマトグラフ)に、試料の分子量を検出するMS(マススペクトロメトリー)を検出器として使用する装置です。
液体や固体試料からのガス化成分の分析に主に使用されます。

GC部

成分ごとにカラム内を流れる速さが異なることを利用して、分離を行います。

MS部

MS部で分離したガスをイオン化し、質量数ごとの強度比(マススペクトル)から同定を行います。

オートサンプラー(前処理装置)

液体試料を自動で導入し、気化させGC-MSに導入します。
溶媒に溶解する成分について分析可能。
繰り返し再現性に優れ、定量分析などで高い精度で分析が行えます。
シリンダー部で自動的に吸い上げるため、採取量の再現性が高く、定量時の誤差が少なくなります。
気化室温度は、200℃です。
【分析対象例】
・液体成分
・各種溶液の微量成分、添加剤成分
・固体などの溶媒抽出後の成分
・溶液中の成分濃度(基準物質が必要)

PY パイロライザー(前処理装置)

加熱炉(室温~1,000℃前後まで)で固体や液体試料を加熱し、発生した気体成分について分析が可能です。
樹脂の添加剤など、微量成分の違いなどを確認する際に使用します。
100~300℃前後で熱脱着反応、500~600℃前後で熱分解反応が発生します。両方を測定可能です。
【分析対象例】
・高分子化合物中の未反応物など熱脱着成分
・各種高分子成分
・樹脂中の添加剤成分
・難揮発性成分
注:サンプル量の少なさや、加熱状態の不安定さにより量的な再現性が低いため、定量分析には適しません。

HS ヘッドスペースサンプラー(前処理装置)

容器内に試料を入れ、内部空気と共に気化成分の分析を行います。
液体や固体から発生した気体の分析が可能です。
試料から発生する低沸点物の分析に使用します。
室温から150℃前後まで加熱することができます。
試料台が回転することで自動測定が可能です。
水道水のVOC分析などに使用されています。
【分析対象例】
・匂い成分
・水道水,排水中の揮発成分
・残留溶媒
注:揮発性の高い成分のみが分析対象となります。

分析事例

シリコン樹脂中の残留シロキサン成分が揮発し、接点などに付着することで接点不良が発生する事例があります。
そこで、シリコン樹脂中のシロキサン成分の分析が必要になります。
シリコン樹脂を200℃で加熱し、揮発成分分析を実施。
右記のようなクロマトグラフが得られ、D3~D9までのシロキサンが確認されました。
下図は各ピークごとに得られるマススペクトルから成分を同定した例(成分はD6)です。
また、ピーク強度から定量も可能です。
シロキサンの場合、D5あるいはD6換算により定量を行います。