WDS(波長分散型X線分光分析)法はエネルギ分解能に優れており、はんだ接合部等の成分分析が可能です。
概要
電子ビームを試料に照射する分析手法をEPMA(Electron Probe Micro Analysis)と呼びEDS・WDSはその代表的分析法ですが、これらはどちらも特性X線を検出します。
EDSは検出感度が高く全元素一斉分析が可能ですがエネルギ分解能が低く元素の区別が困難な場合があります。
一方WDSはエネルギ分解能に優れており元素の同定が容易です。
特長
1. 元素同定精度の高さ
エネルギ分解能が10eV程度で元素毎の特性X線の重なりが殆どなく、ピーク・位置による元素の同定が容易。
2. 検出感度の高さ
EDSに比べて測定時間は長いものの、バックグラウンドピークが低いためコンマ1%レベルの検出が可能です。
3. 測定対象元素
B~Uの元素が測定が可能で含有される元素が未知な場合でも検出が可能です。
4. 線分析・マッピング分析
得られた元素情報に元に電子ビーム走査領域を工夫することで特定位置での線分析・マッピングが可能です。
分析原理
特性X線の波長を分析することでスペクトルを取得します。
X線のブラック反射による回折現象を利用するため、全波長領域を分析するためには時間を要します。
WDS検出器
WDSピークとEDSピークの比較
設備紹介
・外部協力メーカによる(以下代表例)
・一次ビーム:付帯設備に依存
・照射電流:EDS分析の10倍程度
<元素分析>
・検出粒子:特性X線
・分析元素: B~U
・エネルギ分解能 :10eV程度
・面分解能(マッピング・線分析):数nm
【分析上の注意点】
・照射電流が大きいため試料損傷が比較的大きい
分析用途
・はんだ接合部の成分分析
・溶接断面の成分分析
・付着異物分析
・めっきの断面分析
